非認知能力とは
IQなどの目に見えて数値価出来る能力と比べて数値化できない、測ることの出来ない能力のことをまとめて非認知能力と呼びます。
具体的には忍耐力や社交性、自尊心など数値価することが難しい能力のことを指します。
非認知能力としてよく上げられる代表的な3つの力があります。
■目的を達成するため努力する力
■他の人とうまく関わる力
■感情をコントロールするための力
このような測ることの出来ない、しかし何かをやり遂げるための基本となるような能力を非認知能力と呼ぶのです。
非認知能力が注目される理由
非認知能力は以前は子ども一人一人違った生まれ持った素質の問題であるとされていました。しかし近年では非認知能力は働きかけによって鍛え、伸ばすことの出来る力であると分かってきたのです。
そして、研究によって非認知能力は学力向上や将来の仕事の成功などの手助けとなる力だということがわかってきたのです。
「ペリー就学前プロジェクト」ジェームズ・ヘックマン
非認知能力が注目されるようになったきっかけは2000年にノーベル賞を受賞したジェームズ・ヘックマンさんの研究「ペリー就学前プロジェクト」でした。
このプロジェクトは1960年代に始まりました。経済的に余裕がなく、学校に通うことの出来ない3~4歳の子供たちを半分に分け、半分を週3回のプレスクールに2年通ってもらい残りの半分をそのままにしてその後の調査を現在まで続けています。
プレスクールに通ったグループは“ある教育”を受けました。
“ある教育”の主な内容は以下の2つ。これらを毎日、繰り返し行ってもらいました。
・子どもたちに遊びを計画してもらい、その遊びを実行してもらう
・さらにその遊びをよりよくするためにどうすればいいか考えてもらう
引用元:“子どもの“遊びの重要性”がよくわかる!長期的に行われた調査を紹介”子育てに役立つ情報満載【すくコム】NHKエデュケーショナル
調査の結果、40歳頃には通ったグループは通わなかったグループに対して収入が多く、持ち家率や学歴も高くなるという違いが現れました。
この調査で注目すべきなのは2つのグループのIQは10歳前後の時点では変わらなくなったということです。
ヘックマンさんは2つのグループに違いをもたらした要因はプレスクールに通ったグループがIQなどの認知能力でなく、非認知能力を身につけるることが出来たからとしています。
非認知能力を鍛えると得られる効果
非認知能力を伸ばすことによって、学歴や仕事など将来の成功の支えになります。
幼児期には文字の読み書きなどの教育をした場合、それはすぐに目に見える成果として現れ、教育をしていない子と教育をした子では差がついたように感じてしまいますが、やがて成長し、小学生くらいになるとその差はほとんど無くなります。
それから先は勉強に対する姿勢や取り組み方で伸び方が変わってくるのです。
ですので、目先の教育に力を入れるよりも先を見越して非認知能力を鍛え、目的をやり遂げる力、前向きな姿勢、感情をコントロールする力などをつけるほうが、結果的に学力向上にもつながるということなのです。
また、生きていく上でたくさんの人と関わっていくわけですから、コミュニケーション能力があり豊かな人間関係を築くことが出来るということは人生で大切な力になりますね。
非認知能力を高める方法!鍛え方!
非認知能力を鍛えるためには日々の生活の中での働きかけや、体験が必要になってきます。
どんな能力を鍛えるのかによってその働きかけは違ってきますが、幼児期は様々な能力が関係し合って総合的に伸びていく時期ですので、非認知能力を伸ばすためにはあらゆる角度からの働きかけが必要となってきます。
非認知能力を伸ばすために必要とされる働きかけには次のような物がよく言われています。
■がんばれば出来るよ!あなたなら出来る!という前向きなメッセージを伝え続ける
■小さい頃からたくさんの人と関わる機会をもち、時にはケンカや仲直りをすることで人とのコミュニケーションを学ぶ
■自発的にすることを大事にする=「遊び」を大事にする
■子どもが納得するまでやる
放置するのとは違う
納得するまでやることを大切し見守るためには、大人が先回りをしてなんでもやってあげたり、子どもの行動に常に口を出したりするのではなく、子ども自身が考え、失敗を繰り返しながらやり遂げることも大事になります。
子どもは経験・感覚を積み重ねることで「学習」し「発達」しているのです。
しかし見守るというのはただ放っておくのとは違います。
時には失敗しかけたときは「こうしたらどう?」とフォローし、頑張りが続くようにサポートすることも必要となってきます。
努力すれば出来るという体験を積み重ねることで、頑張って最後まで努力する力を身につけることが出来るのです。
私はフォローのタイミングを難しいと感じていますが、“子どものことをよく見る”ことを心がけていこうと思っています。
いつから始める?いつなら身につく?
非認知能力は雪だるま式に成長すると言われています。
だんだん加速して身につくのです。しかし、うまく身につく、吸収する時期は限られているようです。その時期は諸説あり、8歳だったり、14歳だったり、と様々です。個人差もあるのかもしれません。
いずれにしろ一定期間の間に雪だるまの玉を最大限大きくするように早めに身につけ始めるに超したことはないようです。
非認知能力に対する日本での取り組み
平成29年3月に学習指導要領がが改訂され、それに合わせて保育所保育指針・幼稚園教育要領も改訂されました。
幼稚園教育要領の中、第一章総則の第2幼稚園教育において育みたい資質・能力及び「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」というものが新設されました。
それによると、生きる力の基礎を育むため、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿として
(1) 健康な心と体
(2) 自立心
(3) 協同性
(4) 道徳性・規範意識の芽生え
(5) 社会生活との関わり
(6) 思考力の芽生え
(7) 自然との関わり・生命尊重
(8) 数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚
(9) 言葉による伝え合い
(10) 豊かな感性と表現
参照“学習指導要領等:文部科学省”.文部科学省ホームページ.http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384661.htm.(参照 2018-01-06)
この10項目について具体的に明記、説明されています。
この学習指導要領の改定により、幼稚園でも非認知能力を伸ばすための教育が意識されていくようです。
まとめ
非認知能力についてまとめてみましたが、
非認知能力、知れば知るほど気になり、ぜひ子どもに身につけてあげさせたいと思います。幼児期にしっかりとした土台を築き、一生の宝となる生きる力を身につけられるようにしたいものです。
それだけ大事な非認知能力を育むためにはやはり一朝一夕ではすまないようですので、日々勉強し子どもとの関わり方を考えていきたいです。
この記事を読んでくださっている皆様も同じ思いではないかと思います。子育ては難しいですが、私も皆様と一緒にがんばります!!
最近注目のモンテッソーリ教育でも子どもの自発性を大事にしているようですし、非認知能力が注目されている今の教育とちょうど合っているのかも知れませんね。